アリモ アーカイブ

人生に大事な多くのことを、私はマンガから学びました。
また一人、私の尊敬する人生の先生がこの世を去ってしまいました。

「お酒を飲みすぎないでね」と心配するみんなをよそに、
破天荒に生きて、6年間という長い闘病生活の末
赤塚不二夫先生はやすらかに旅立たれたそうです。

「バカボン」も「おそ松くん」も大好きだけれど、
私が一番好きなのは「もーれつア太郎」です。

・友だちや家族を大事にする。
・やせ我慢をする。
・他人のおせっかいを焼く。
・人の喧嘩に加勢する。
・ちょっと凶暴。
・ニャロメ。

江戸っ子とはこうあるべきだという姿を、ア太郎から学びました。

赤塚先生のマンガには、ユーモアだけでなく
カタルシスと、ダンディズムと、アイロニーが溢れていました。
先生がいない日本はつまらないな。

天国でも楽しく暮らしてください。
好きなだけお酒を飲んでいいですよ。

私はこれからも、ニャロメを描き続けます。

【公式サイト】
赤塚不二夫公認サイト これでいいのだ!

  • 2008年06月10日

漫画 「ソラニン」

浅野いにお「ソラニン」
(2005年 - 2006年、ヤングサンデー、小学館)全2巻

中村一義の曲と同じタイトルが気になり手に取った初連載
「素晴らしい世界」を読んで、正直苦手な作家だと思った。
下北系の若者が好きそうな話だなぁと、30歳にもなろう自分
には全く共感出来なかったから。
うだつのあがらないバンドマンやフリーターたちの、だらだら
した日常、それが「素晴らしい世界」ってか?と鼻白んだ。

それ以来この作家の漫画を手に取ることはなかったけれど、
22歳の新入社員君が貸してくれたので「ソラニン」を読んでみた。

あいかわらず出てくる登場人物はモラトリアム人間ばかり。
大学を卒業してなんとなく同棲して、会社で働くことに情熱を
持たず、時々スタジオに集まってはバンド練習。気の置けない
友達たちとダラダラ遊ぶ毎日。

「あいかわらずこんな漫画描いてんのね~」
そう思ったら一転。

(ネタバレになるのでストーリーは割愛)

……頑張ったじゃないか、いにお。
(年下だから呼び捨て)

決してこの「ソラニン」が歴史に残る傑作だと言いたいわけじゃない。
好きかと訊かれれば、「まぁまぁ普通」と答えるだろう。

ただ一つ言えるのは、しばらく読まなかった間に浅野いにおという
漫画家が、どれだけ漫画に真摯に向き合ったか、その努力が充分
伝わってきたということ。

「素晴らしい世界」のような漫画のニーズはあると思うし、同じような
雰囲気の漫画を描き続けても食っていけるだろう。

しかし「素晴らしい世界」と同じようなモラトリアムな若者を題材に
しながら、その世界を切り崩してみせた。
毎日たいした事起きないけれど彼女がいるからなんとなく幸せ、
という自ら描いた『素晴らしい世界』を、自らがブチ壊してみせた。

「俺は、幸せだ。」

「ホントに?」

「本当さ。」

「ホントに?」

(主人公の独白)

こんな風に漫画を描けるようになったんだ、と2歳年下の漫画家の成長
を見て、「若者を甘く見ちゃいかんなぁ」と少々恐縮させられてしまった。

熱心な読者にはならないけれど、またしばらくしたら
「いにお、頑張ってるかな?」と手に取ってみようと思う。

社員旅行を前に、韓国映画なんていかが?
おすすめのポン・ジュノ監督作品です。

「殺人の追憶」2003年【韓】/131分

監督:ポン・ジュノ
主演:ソン・ガンホ、キム・サンギョン、

□あらすじ□
1986年にある農村で実際に起きた、若い女性ばかりを狙った連続
強姦殺人事件(未解決)を元にしたサスペンス。
拷問してでも無理矢理犯人を仕立て上げようとする地元警察のパク
刑事(ソン・ガンホ)と、ソウルからやってきた冷静沈着なソ刑事
(キム・サンギョン)。タイプの違う二人の刑事が対立しながら捜
査を進める中、犯行は重ねられ……。


「殺人の追憶」も残暑の農村が舞台。犯人探しやミステリーを軸と
しながらも、育ちの違う二人の刑事の対立と交流がストーリーの肝
となっている。

80年代の韓国は軍事政権の色が強く、民主化運動も盛んで、警察と
民間人の間には緊張感が見て取れる。
夜は防空訓練のために停電を余儀なくされ、犯人確保のために機動
隊の出動を要請するも、民主化運動のデモの鎮圧に駆り出され残っ
ていない。

遅々として進まぬ捜査の中、無骨で野蛮な地元刑事が冷静に、
冷静沈着だったエリート刑事が我を失うという不思議なパラドクスが
生まれていく……。

実際に起きた未解決事件や、複雑な時代背景を題材にしながらも、
やっぱりポン・ジュノ監督。ところどころに小ネタも織り込んでいる。
(Nikeの模造品「Nice」だとか、派手なとび蹴りだとか)
あと、容疑者役のパク・ヘイルが美し過ぎる……。

名画「夜の大捜査線」(1967年【米】)を思い出させる良作。

■アミューズソフトエンタテインメント
殺人の追憶

社員旅行を前に、韓国映画なんていかが?
おすすめのポン・ジュノ監督作品です。

「ほえる犬は噛まない」2000年【韓】/110分
(原題:플란다스의 개/フランダースの犬)

監督:ポン・ジュノ
主演:ぺ・ドゥナ、イ・ソンジェ

□あらすじ□
迷い犬を探しています-特徴:手術をしているため……ほえない。
マンションの管理事務所で働くヒョンナム(ぺ・ドゥナ)は、脚光
を浴びることを夢みながら、毎日つまらない生活に飽き飽きとして
いた。ところがある日マンション住人の飼い犬が行方不明と知り、
正義のヒーロー然と立ち上がった……!

犬の鳴き声にノイローゼ気味の大学講師ユンジュは、飼い主が目を
離した隙に、悩みの根源の小型犬にアメフト並みのタックルをキめ、
連れ去る。
(笑っちゃいけないけど、あまりのタックルの華麗さに爆笑!)
不振人物を追いかけ、マンションの廊下を疾走するヒョンナム。
突然目の前のドアが開いて……。
(あ~!)

かなりのブラックユーモアと、ニタリとする小ネタ満載。
動物好きは眉をしかめる描写もあるので注意!
(ただあくまで映画として見逃してあげて)

■公式サイト
ほえる犬は噛まない

  • 2008年05月07日

太宰治「葉桜と魔笛」

連休中、山道を車で走っていたら
新緑が眩しくてきれいだった。

毎年葉桜がきれいな季節になると、
読みかえしたくなる一冊。

「葉桜と魔笛」太宰治

□あらすじ□
厳格な父と暮らす二人姉妹。
病気で死期の近づいた美しい妹に届く、
恋人からの手紙を盗み読んだ姉が起こした
行動とは……

私はこの短編、何度読んでも泣く。
毎回、泣く。

実家に置いてきた太宰全集を取りに帰ろう
かと思っていたら、ネットで素敵な図書館
を見つけた。

■青空文庫■

著作権保護期間(作者の死後50年)を過ぎた
著作を、無料で読むことのできるネット図書館。

表示ソフトをダウンロードすると、ページを
めくる感覚で読むことが出来る。
(試用期間は30日、以降有料)


aozorabunko.jpg


私は実物の本を読むのが好きだけれど、
(本の匂いが好きだから)
本屋さんでなかなか見つからない本や、
気になっていた作品を試し読みするのに
活用しようと思う。

ありがとう、青空文庫さん!

エミール・クストリッツァとは
……サラエボ(旧ユーゴスラビア)出身の映画監督。

「アンダーグラウンド」1995年【仏・独・ハンガリー・ユーゴ】/171分

が一番有名かな?

旧ユーゴスラヴィアの激動の歴史の中、アンダーグラウンド(地下室)
に潜り、たくましく時代を生き抜く人々の話。だったような。
10年近く前に観て、最後の10分はうとうとしてしまったので曖昧……。
(いい映画だったんだけど、疲れていたのでつい……近々観直します)

この映画は政治的な論争を巻き起こし、
そのためクストリッツァは一度監督引退を表明。

が、その後引退宣言を撤回してまた映画を作ってます。

「黒猫・白猫」1998年【独・仏・ユーゴ】/129分
「ライフ・イズ・ミラクル」2004年【ユーゴ・仏】/155分

この2作は大好きな映画。
なんでしょうねぇ……人間賛歌?

事件にまきこまれても、戦争がはじまっちゃっても、
ドタバタおバカに生きる、そんなラブリーな人たちを
描かせたらクストリッツァの右に出る人は居ないのでは。

更にクストリッツァ映画の重要なポイントは、音楽と動物。
恋に破れて生きるのに絶望した「ロバ」をはじめ、
むやみやたらに動物が出てくる(時には飛んでくる)。

やっぱり好きだわ、こういう映画。
そして死ぬまでに一度、旧ユーゴに行ってみたいのだ。

これ、ちょっぴり観たい。

「ダージリン急行」2007年【※】/91分
監督/脚本:ウェス・アンダーソン
主演:オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、
ジェイソン・シュワルツマン

■公式ホームページ
ダージリン急行

ウェス・アンダーソンは「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」
しか観たことがないんだけど、「どうせおしゃれ映画だろ~」
と思って観たらどっこい、結構良かった。

「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」は天才一家に生まれて
神童ともてはやされた兄弟たちが大人になり、各々問題を
抱えながら再び共同生活をする、という話。

サリンジャーの小説に出てくるグラース家の人々
(「ナインストーリーズ」、「フラニーとゾーイ」等)
に似てるなぁ、と。(意識したのかな?)

サリンジャーほどシリアスじゃなく、コミカルだけど
何気に照れくさい家族愛が描かれていて、結構ホロリ。

「ダージリン急行」も、バラバラだった三兄弟がインド
旅行を通じて絆を取り戻すような話みたい。

完全無欠のヒーローじゃなくて、どっかダメな人たちの
映画が好きみたい、わたし。

好きな映画監督は?と訊かれたら前は「コーエン兄弟」
と答えてたけど、最近はちょっと違うかも……。

「ファーゴ」や「ミラーズクロッシング」のような
サスペンス?映画ばかりじゃなくて、こんなおバカで
かわいい映画も作ってました。

↓個人的な★評価つきで(あらすじは割愛)

「未来は今」1994年【米】/111分
★★★★★
監督:ジョエル・コーエン
助監督:サム・ライミ
主演:ティム・ロビンス、ジェニファー・ジェイソン・リー
ポール・ニューマン

一番好きな映画かもしれない。多分10回は観てる。
クリスマスになると観たくなるんだ~てな事を言ってたら
「江角マキコが同じこと言ってたよ」って言われたショムニ。

「ビッグ・リボウスキ」1998年【米】/118分
★★★★★
監督:ジョエル・コーエン
主演:ジェフ・ブリッジス、ジョン・グッドマン
スティーヴ・ブシェミ

これも「未来は今」同じくらい好きで、何回も観てる。
いい年したダメ男三人組、っていう設定がまずいいし、
ジョン・グッドマンの狂いっぷりと、主人公のダメさ、
ブシェミの情けなさがたまらなくいい。

「赤ちゃん泥棒」1987年【米】/94分
★★★★
監督:ジョエル・コーエン
主演:ニコラス・ケイジ、ホリー・ハンター

大昔に一回観ただけなのでうろ覚えだけど、タイトル
通り赤ちゃんを盗む話。近々観直してみますわ~。

ところで「ノーカントリー」はどうでしょうね?
すーちゃん感想聞かせてね。

この間の土曜日観て来ました。

「ミスター・ロンリー」2007年【英・仏】/111分
監督/脚本:ハーモニー・コリン
主演:
ディエゴ・ルナ(マイケル)
サマンサ・モートン(マリリン)
ドニ・ラヴァン(チャップリン)

□あらすじ□
パリの路上でマイケル・ジャクソンのモノマネの
パフォーマンスをしているマイケル。
ある日老人ホームでパフォーマンスをしていると、
偶然マリリン・モンローのモノマネ芸人と出会う。
彼女から、スコットランドの山の中にある古城を改築した
モノマネ芸人のコミュニティーに来ないかと誘われ……。

「KIDS/キッズ」や「ガンモ」で鮮烈デビューし、
「恐るべき子供」と称されたハーモニー・コリンの
8年ぶりの新作。

正直、この監督は好きになれないだろうと、
今まで敬遠してたのだけどヤラレてしまいました。
ついうっかり、泣いちゃったよ……。

「ポンヌフの恋人」でリビドーの赴くままに生きる
アレックス役を演じ、「ぴゅあぞう」と私が勝手に
命名したドニ・ラヴァンに対し、

ディエゴ・ルナ演じるマイケルはイノセントで
草食動物のような儚さをもった「ぴゅあぞう」と
でも申せましょうか。

ピュアゆえに有害なドニ・ラヴァン、
ピュアゆえに無害・無力なディエゴ・ルナ、
新旧「ぴゅあぞう」の共演が見物。

ウディ・アレン監督の「ギター弾きの恋」で
「ピュア子」(これまた勝手に命名)を演じた
サマンサ・モートンの演技もチャーミング。

東京は渋谷シネマライズにて、公開は今日3/14まで。

■公式ホームページ
ミスター・ロンリー

「無法松の一生」1965年版【邦画】/96分
監督:三隅研次
脚本:伊丹万作
主演:勝新太郎

□あらすじ□
生きたい様に生きてきた車屋(人力車)松五郎。
ある日脚をくじいた男の子を見つけ、家に送り届ける。
そこで美しい母親よし子と出会い……。
未亡人となったよし子とぼんぼんを、無償の愛で
支え続ける松五郎。
そして悲しい結末が……。

過去4回映画化され、ドラマ・舞台化もされた名作。
評価が高いのは阪東妻三郎主演の1943年度版、
三船敏郎主演の1958年度版だけれど、
「無法者」というイメージでは、私にとっては
勝新太郎はハマリ役。

祇園太鼓を叩くシーンのエロティックなフレーミング、
何よりかつしんの色っぽさ、たまらんです。
よし子の夫役、宇津井健もギラギラしてて、いい。

■おすすめの一冊
『私論・勝新太郎』(市山隆一著、講談社)

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